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解決事例

お客様に合わせたコンサルティング。第一線スタッフとのコミュニケーションを大切にします。

事例1. 品質改ざんで苦しむ 国内X社

  • 事業内容

    製造・販売業

    X社はユーザーの使用条件に合わせた少量多品種の材料を製造・販売しています。お客様の短納期要求に応じるために見込み生産をしており、在庫の内には受注見込が立たなくなってしまった長期滞留在庫品を恒常的に抱えています。
    会社の規模から少数の従業員が複数部門の仕事を兼務しています。営業部長が品質保証部長を兼務しています。

  • 問題点

    品質改ざん

    売上が伸びず、収益を改善する必要に迫られた営業部長は、長期滞留品を処分することとし、外注先である出荷倉庫に指示して製品表示を張り替えさせることで通常品に偽装しました。提出する検査成績表は兼務している品質保証部長として通常品に改ざんのうえ発行していました。売上は、社内的には通常品と長期滞留品とを分けて計上し、ユーザーには通常品で請求していました。

  • 不正発見

    当事務所の診断で、売上・在庫・品質検査の照合をした結果、不一致が発見され、上記の不正が発覚しました。

  • 原因

    X社にとって不幸な事件である不正発生の原因は次の条件が重なったことにありました。
    ①品質保証が製造・販売から独立していない。
    ②出荷データを営業部長が単独で変更することができるシステムだった。
    ③ユーザーが長期滞留品を使用しても影響がないと判断して品質改ざんの罪悪感が少なかった(勝手な思い込みであることが後日判明しました)。

  • 対策

    X社では対策チームを編成して以下の対策をとりました。
    ①品質保証を設備管理責任者が兼務することにしました。
    ②システムのデータ修正には必ず複数の担当がそれぞれの上長の承認を必要としました。
    ③品質保証書の基となる分析データの保管を確実にして定期的に点検することとしました。

    対策は再発防止手段として有効ですが、コンサルティングではより深い原因を対策チームと共に考えました。結果、中堅・若手社員から次の提案が出されました。
    原因 今回の不正は、無理な短納期対応のための見込生産が長期滞留品を発生させていることに本当の原因がある。
    対策 原因を取り除くだけでなく、これからの仕事への取組みを前向きな姿勢にしたい。
    ①受注生産に変更できる品種を増やしていけるように、お客様に提案する。
    ②受注から出荷までの標準的な体制を整備する。

  • 成果

    不正自体は残念でしたが、X社はそれまでの仕事を考え直すチャンスととらえて前向きな改善に取り組んでいます。改善は、ユーザーであるお客様への提案、会社内のコミュニケーションのありかたに発展しています。

上記は特定のお客様またはコンサルタントが過去に所属した会社の実例ではなく、社会に公開された事例とコンサルタントの実務を重ねた知験を基に編集した事例です。

事例2. 仕入取引を改善する 国内Y社

  • 事業内容

    卸売販売業

    Y社は特殊部品・工具の卸売販売をしています。本社は国内の地区ごとに旗艦営業所とその下に中小営業所を配置しています。
    仕入品の在庫は旗艦営業所内にある倉庫で保管し、中小営業所が受注したお客様(小売店)に直接出荷しています。

  • 問題点

    仕入先との癒着

    旗艦店で仕入を担当する主任は、仕入先のV商店と長期にわたる取引があり、実際の仕入数量を水増し、実体のないサービス代金と共に代金のキックバックを受け取っていました。発注・納品受領・在庫棚卸を主任本人が単独で一貫して担当していました。V商店との取引は下請法該当取引ですが不正を隠すために注文書は交付していませんでした。

  • 不正発見

    当事務所の診断で下請法順守状態を検証した結果、注文書の不備が判明しました。さらに、仕入・出荷・在庫棚卸を照合した結果、主任に事情を聴取して上記の不正が発覚しました。

  • 原因

    次の条件が主任の長期にわたる不正を可能にしました。
    ①仕入れの業務手順には複数者によって分担することが定められていません。
    ②新規の仕入れ先候補を探すなど特定の仕入れ先に偏った取引の見直しがありません。
    また、不正とは別に下請法に違反するコンプライアンス上の問題もあることが判明しました。

  • 対策

    Y社本社の仕入部門責任者と旗艦店責任者とが協議の結果、以下の対策をとりました。
    ①発注者以外の従業員による納品受領時・在庫棚卸時の立合確認を手順に織り込む。
    ②長期にわたり継続している仕入取引先以外へは見積引き合いをして取引価格を点検する。
    ③本社を管理部署として旗艦店・中小営業所の下請法順守状況を定期的に点検する。

    対策は再発防止手段として有効ですが、コンサルティングでは第一線スタッフの理解を重視しました。
    実用性の重視 手順を効率化・簡易化する。
    対策
    ①仕入の業務プロセスを判りやすいフローチャートにまとめて全店舗共通の標準としました。
    ②下請法は第一線スタッフが確実に順守できる手順を上記フローチャートに織り込みました。

  • 成果

    第一線スタッフの転入・転出が激しい職場で、販売会社にとって手薄になりがちな仕入業務は、誰でもが効率的に不正防止・コンプライアンスを守ることができるフローを職場が一体となって作成することでチームワークを育成しました。

上記は特定のお客様またはコンサルタントが過去に所属した会社の実例ではなく、社会に公開された事例とコンサルタントの実務を重ねた知験を基に編集した事例です。

事例3. 機密情報の流出を防止する 海外Z社

  • 事業内容

    製造業

    Z社は日本の親会社が100%出資してC国に約10年前に設立した中間部品の加工組立会社です。親会社は情報セキュリティ管理方針を明確にしており、Z社に対してコアな開発・製造技術に関わる情報をブラックボックス化しています。社長・経理部長の他は現地ローカルスタッフで構成されています。

  • 問題点

    管理方針からの逸脱行為

    親会社の情報セキュリティ管理方針をZ社の管理方針としていますが、Z社の職場に徹底されていない状態です。

    事例
    情報機器の取扱
    ・個人スマホを使用した業務連絡
    ・未登録情報機器の社内持込・社外持出(PC・USB・HDD)
    構内制限地域の立入
    ・社外者の制限地域内立入(工事・納品・運搬業者)
    ・機密指定地域内への部外者社員立入
    機密情報へのアクセス制限違反
    ・設定されたアクセス権限を逸脱した情報回覧
    ・情報資産への登録から漏れた機密情報の社外流出

  • 不正発見

    当事務所の診断で、重要機密が社外へ流出していることが判明しました。重要機密ファイルへのアクセス実績を調べると、社外との不審なメール受発信を繰り返している特定人物(幹部)が浮かび上がりました。USBは社内への持込が禁止されていますが、特定人物が使用しているUSBを開かせたところ、重要機密情報が発見されました。

  • 対策

    親会社の情報セキュリティ管理方針をZ社の従業員の実態にあわせて簡潔なルールに改訂し、全従業員に説明会を開催しました。また、機密保持誓約に署名させました。幹部・管理職とは入社・昇格・退職時に機密保持契約を締結します。
    社外とは、現地法律事務所の監修の下に、取引内容に応じて機密保持誓約を提出させるか、または機密保持契約を締結しています。
    情報セキュリティ管理チームを社内で編成し、定期的に点検することにしました。

  • 成果

    親会社の情報セキュリティ管理方針を海外会社に展開する場合、日本とは異なる職場規律を織り込んだ現地ルールを設定・周知しました。結果、従業員の間にルールを守ろうという意識が定着し始めました。

上記は特定のお客様またはコンサルタントが過去に所属した会社の実例ではなく、社会に公開された事例とコンサルタントの実務を重ねた知験を基に編集した事例です。

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