ルールについて
お客様(クライアント)から、「規定違反を監査で指摘されているがどのような対応がよいか」というご相談を多くうけています。
違反を指摘されたことに意識が向いてしまいがちですが、まずは規定、言い換えればルールというものの役割や効果を考えてみることから始めます。
必要とされるルールは仕事に応じて異なります
一口にルールといっても、適用される部署の仕事が異なればルールもそれに応じて内容が変わります。製造会社では、例えば、歩留向上に苦心している量産部署と他社と競争中の開発部署とに対して同じルールで定めた基準を適用するのには無理がでてきます。また、販売会社でも、多くのお客様に対するサービスの質の向上に努める支店と長年積み上げた信頼関係のあるお客様を重視する支店ではスタッフの営業活動が異なっています。
製造会社で時間との闘いに追われる開発部署に対して、何段階もの上長承認を必要とする稟議書の捺印不備を規定違反として指摘することに意味があるのでしょうか?部署長が判断して、経営者の承認を得れば済むことです。開発のスピードを事務書類作成と根回し会議で無駄にするリスクは避けられるはずです。
販売会社で長年信頼関係で取引を継続してきたお客様からの注文書・納品受領書の捺印を確認して書庫に長期間保管しておく目的はなんでしょうか?納品書を発行し、請求書でお客様から支払を受ければ、取引実績は確認されたことになります。事務書類に時間をかける無駄を省くことで営業所員が営業活動に集中できます。
仕事の目的に必要なことに注力することが大切で、目的からみて優先順位が低いことは大胆に削減してもよいのではないでしょうか。
仕事の目的に合うルールは現場の生産性を高めます
社員が協力して新規事業に取り組む「つくりこみ」が日本企業の強みとして注目されています。当事務所の素晴らしいお客様は新商品・新サービスの「つくりこみ」に全力をあげています。
1.部署長が部署の仕事の目的を職場全員に理解させていて、守らなければならない事項を絞りぬいている。
2.上長が部下の仕事を把握し、部署長の目的に合致した必要な指示を出して、取組状況と結果を確認している。
3.部下が上長に必要な記録を適切なタイミングで報告している。
目的である「つくりこみ」に忠実になればなるほど、本当に必要なルールが全員に共有されています。
冒頭の「規定違反指摘対応」のご相談に対して当事務所では次のアドバイスを行うこととしています。
1.ルールは紙にまとめなくても、部署の目的に沿った業務活動が遂行されていればそれでよいのではないでしょうか。これからの新しい事業である「つくりこみ」をルールで縛りつけ活力を削いでしまうのは避けるべきです。
2.監査部署に対しては、新しい事業にとって先々リスクになりそうな業務処理、コンプライアンス違反を防止するために必要十分で効率的な手順を提案することを要求してはいかがでしょうか。
当事務所はそのお手伝いをします。
今後もお客様の悩みについて続けます。よろしくお願いします。
藤井 浩彦